社内体制を整備しよう!
書著で紹介しきれなかった、「社内体制の整備」の内容を掲載しています。
管理制度の整備のポイント

社内体制の整備として具体的には、「組織体制の整備」「管理体制の整備」「意思決定機構の整備」が必要です。
ここでは、その中の「管理制度の整備」のポイントについて説明します。
1.販売管理業務の整備のポイント
販売管理業務は、売上および利益を生む会社にとって最も重要な業務といえます。 また、セールスマンに対する業績評価に直結することや、現金を取扱うことからも、不正や誤謬の発生の可能性が高く、その発見及び防止には十分に注意しておくべきです。販売管理業務の整備のポイントは、以下の通りです。
・担当業務を分離する 販売に関する各部署の権限と責任を規定し、各業務(受注、出荷、記帳、代金回収等)を各々独立した部署とします。
・信用調査を実施する
1 得意先に対する信用調査部署を販売及び管理部署から独立させて設置します。
2 新規の販売契約の締結あるいは受注にあたっては、相手先の信用調査を行いま す。
3 既存の得意先については、与信限度額を設定して超過の有無を確かめます。
・受注記録を整理・保管する
1 受注台帳、契約者及び注文書等を、秩序整然と保管します。
2 受注内容・受注条件・与信限度について所定の責任者の承認を受けます。
3 合理的に原価の見積もりを行い、販売価格を決定します。
・出荷手続が適正になされるようにする
1 注文書あるいは受注台帳等に基づいて、所定の責任者の承認を受けて、 出荷指図書を発行します。
2 所定の責任者の承認を受けた出荷指図書により出荷します。
3 製・商品の出荷にあたって、送り状を送付するとともに物品の受領書を入手しま す。
・請求手続きが適正になされるようにする
1 請求書の様式は残高連続式のものにします。
2 値引・割戻等については、所定の書式により所定の責任者から承認を受けます。
3 請求書は一連番号で管理し、再請求に関する手続きを規定します。
・売上計上が適正になされるようにする
1 自社の取引実態にあった収益認識基準を採用します。
2 売上計上の根拠証憑はできる限り外部資料(受領書等)で整備し、所定の責任 者の承認を得て、売上計上します。 3 カットオフ(期末締切)に留意して、特に、棚卸による入出荷のタイミング、在庫計 上、直送取引、値引・割戻・返品等の処理について規定への準拠性を確かめま す。
・売掛金残高管理
1 総勘定元帳と売掛金台帳とを毎月末定期的に照合します。
2 売掛金の入金消しこみを行い、売掛金の年齢調べを定期的に行います。
3 得意先に対して、残高確認を定期的に行います。
4 滞留債権については、適時に関連部署に報告を行い、回収手段を講じます。
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2.購買管理業務の整備のポイント
購買取引は、製造・販売に必要な物品を購入して、関係部門に供給するという重要
な機能を果たしていることから、その管理は十分に行う必要があります。
特に、購買担当者と仕入業者の癒着による横領等の不正が発生する可能性が高く、
注意する必要があります。
購買管理業務の整備のポイントは以下の通りです。
・購買担当者と仕入業者との癒着を防止する
1 購買先選定基準を明確にします。
2 複数の仕入先から見積書を入手します。(相見積り)
3 定期的に人事異動を実施します。
・担当業務を分離する
購買に関する各部署の権限と責任を規定し、各業務(発注、検収、記帳、支払等)を各々独立した部署とします。
・発注手続きが適正になされるようにする
1 発注は、購入依頼部署の発行した購入依頼書に基づいて、発注担当者が行いま
す。
2 仕入先・購入価額及びその他購入条件について購入担当部署の責任者の就任 を受けます。
3 購入依頼書・見積書・注文台帳・注文書・注文請書等は、秩序整然と保管しま す。
・検収・受入手続きが適正になされるようにする
1 物品受入部署を明確に定め、それ以外の部署は行わないようにします。
2 検収の実施と、納品書及び注文書等とを照合します。
・買掛金残高管理を行う
1 仕入先元帳と請求書等とを定期的に照合します。
2 返品・値引・割戻し等については、所定の責任者の承認を受けます。
3 支払担当部署は、支払承認のある支払依頼伝票に基づき、支払伝票を起票して 行います。
4 総勘定元帳と仕入先元帳を毎月定期的に照合します。
・外注管理を行う
1 外注を利用するか否かの判断基準を明確にします。
2 外注先選定基準・手続きを明確にします。
3 外注先と外注契約書を取り交わし、ペナルティなどの負担責任を明確にします。
3.在庫管理業務の整備のポイント
在庫は、種類・取引件数が多く、その金額も多額となるため、適切な管理が行われていることが求められます。
業務の整備のポイントは、以下の通りです。
・受払記録を作成する
1 各棚卸資産項目は、倉庫別に受払簿(品目別・数量・金額)を作成します。
2 受払記録は、保管担当者以外のものによって行います。
3 受払記録は、所定の責任者と承認のある証憑書類に基づいて行います。
4 受払簿は、総勘定元帳と毎月月末に定期的に照合します。
5 販売委託品・無償支給材料等の他社預け品は、受払記録において区分管理しま す。
6 滞留品の基準を設け、受払記録により滞留一覧表を作成します。
・保管手続が適正になされるようにする
1 保管担当者以外の者が許可なく倉庫に出入りすることは認めないようにします。
2 現品は、適当な保管整備内で適切な状況で保管します。
3 販売委託品・加工受託品等の他社預かり品は、倉庫内で区分管理します。
4 不良品・陳腐化品等の物品は、良品と区分管理します。
5 適正在庫の基準と設けます。
6 現品の廃棄等については、所定の申請様式に基づき所定の責任者の承認を受 けた上で行います。
・実施棚卸を行う
1 定期的(少なくとも年2回)に実施棚卸を行います。
2 実施棚卸は、棚札を使用し、実施棚卸要領(社内規定)に基づいて行います。
3 受払簿と実施棚卸の結果とを照合し、差異原因の分析を行います。
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4.固定資産管理業務の整備のポイント
固定資産は長期にわたり使用されるもので、その額も多額に上ることから、その管理は重要です。固定資産管理業務を整備するポイントは以下の通りです。
・予算を作成する
設備予算及び修繕費予算は、会社の事業計画に従い、取締役会等の承認を受けます。
・取得手続が適正になされるようにする
1 取得にあたっては、所定の手続きに基づき責任者の承認を受けます。
2 受け入れにあたっては、品質・性能等のチェックを行います。
3 不動産に関しては、所有権の移転登記を適時に行います。
4 火災等の重大な損害に備えて、適切な保険を付しておきます。
・処分手続が適正になされるようにする
1 除却・売却にあたっては、所定の手続に基づき責任者の承認を受けます。
2 処分内容を台帳に記載するとともに、遅滞なく会計担当者へ報告します (移管手続も同様)
・現物管理を行う
1 固定資産台帳を作成し、定期的に総勘定元帳と照合します。
2 現物実査を定期的に行います。
3 現物に管理番号を付し、台帳との照合を容易にします。
4 貸与資産は、責任者の承認を受け、契約書等を締結します。
5 リース資産を区分するために、リース台帳を作成します。
5.資金管理業務の整備のポイント
資金の出納業務は不正につながる危険性が高いため、不正防止の観点から十分な管理体制の業務が求められます。資金管理業務を整備するポイントは、以下の通りです。
・現金扱い量及び保有残高を減少させる
定額小口現金前渡制度を採用します。
・担当業務を分離する
金銭出納と記帳、収納と支出、金銭出納と販売・購買などを兼務させないようにします。
・金銭の収納手続きが適正になされるようにする
1 金銭の収納は、他部門で作成した書類に基づいて行います。
2 収納金は直接支払にあてることなく銀行へいったん預け入れます。
・金銭の支出手続が適正になされるようにします
1 金銭の支出は、他部門経由の請求書等の添付された書類に基づいて行います。
2 二重払防止のため、請求書には支払済印を押印しておきます。
3 できるだけ現金を介在させず、払込等を利用します。
・領収書用紙を管理する
領収書用紙は、連番管理とし、書損じ等の抹消手続を適切に行います。
・小切手を管理する
1 小切手の振出は、すべて横線小切手とします。
2 取得または書損じの小切手は適正に処理保管します。
3 小切手帳の受払記録を作成します。
・資金残高を管理する
1 金種表と金銭出納帳との定期的な照合を行います。
2 出納担当者以外の責任者が定期的に実査します。
3 毎月銀行勘定と銀行残高証明書を照合し、銀行勘定調整表を作成します。
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6.人事・労務管理業務の整備のポイント
会社にとって、優秀な人材を確保し定着させていくことは、経営上きわめて重要な課題であり、公開会社としてふさわしい成長性・継続性・安定性が人事労務面から確保されているかどうかが審査対象とされます。
人事・労務管理業務を整備するポイントは、以下の通りです。
・従業員の定着をはかる
従業員の定着率が低い場合には、次のような対応が必要となります。
1 退職者の傾向について十分に吟味・分析を行います。 (退職者の所属する部署、職位、退職事由等)
2 人事労務制度の見直しや良好な労使関係の構築等、改善に向けた対策を行い ます。
・人事労務関係書類を整備する
1 就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届出を行います。
(変更があった際には、変更届を提出します) 2 労働者名簿、賃金台帳、雇用通知書等の労働基本法により、作成・保管する必 要があるものは、記載事項を網羅して作成・保管します。
・労働保険及び社会保険に加入する
1 一定の要件を満たす従業員は、労働保険及び社会保険(健康保険・厚生年金) に加入する必要があり、加入対象者全員の加入を維持します。 特にパートタイマー等の未加入に留意します。
2 労働保険及び社会保険(健康保険・厚生年金)の保険料の未払や不払いに留意 します。
・時間外勤務手当を支給する
1 時間外勤務手当の支給規定が明らかでない場合、早急に支給規定を明確にしま す。
2 支給規定があり、かつ実態として時間外勤務があるにもかかわらず、手当ての支 給が行われていない場合(いわゆるサービス残業)には、支給規定を遵守する必 要があります。
7.情報システム業務の整備のポイント
株式公開を目指す会社は、公開準備過程において組織、業務処理手続、会計処理やその基礎となる販売管理、購買管理、在庫管理等の主要管理業務に大幅な改善を要する場合があり、適正な内部管理を行ううえで情報システムの見直しは不可欠とい
えます。 また、適時に情報開示をするという観点から早期に月次決算、業務処理等を行う必要があり、計数管理や公開申請書類作成のためのデータ収集のために、従来の情報システムでは対応できないケースもあります。
・情報システムの整備の時期
公開審査では、会社の内部管理体制について、1年以上の運用実績が要求されます。よって、情報システムの整備の時期もこの運用期間を考慮にいれて、早期に着手す
る必要があります。
・情報システムの整備費用 会社の規模にもよりますが、システムの見直しには多額のコストがかかる場合があるため、当該コストが利益を圧迫し、公開そのものに影響を与えないように留意する必要があります。
・情報システムの整備範囲
会社の主要業務に関するすべてのシステムを見直す大規模なシステム整備は導入から稼働までに多くの時間を要することになり、株式公開のスケジュールに大きな影響を及ぼす可能性があります。どの範囲のシステムの見直しを行うのか慎重に検討して、その目的に合致するように要件定義を明確にすべきです。
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8.予算制度・予算統制の整備のポイント
会社が目標を達成するためには、組織全体が同一の現状認識のもとに、経営上、様々な対応策を講じていかなければなりません。その為、業績目標を適切に策定する予算制度を構築して、実績との乖離の状況を適時に把握するとともに、経営者に報告するといった一連の予算統制の仕組みが必要です。
公開審査において、予算制度・予算統制が経営管理面から有効に機能しているか否かという観点で審査がなされるほか、株式公開後に投資家に対して信頼性のある翌期の業績の見込みが開示することが可能な体制が整備されているか否かという観点からも審査が行われます。
・予算制度の整備
会社の利益計画は通常、3年後までの中期利益計画と単年度の短期利益計画で構成されます。中期利益計画は会社の経営ビジョン・理念をもとに策定された経営戦略を実践するために、これからの販売活動や購買活動等を具体的な指針として示した事業計画書のことです。
一方短期利益計画とは、中期利益計画の初年度として作成され、中期利益計画の達成に向けて、具体的な活動計画に落とし込まれた予算となります。
予算制度を構築するためには、以下の点に留意しなければなりません。
1 適切な利益管理区分
予算制度を構築するためには、最初に、過去の自社の財務諸表を分析して、利益構造を把握する必要があります。予算は将来の予測であることから、自社の特性を十分に把握した上で、過去の実績を基礎として、将来予測をすることが必要だからです。
利益構造を把握するためには、売上高と売上総利益の分析が重要であり、売上の内容を製品・商品・サービス別、地域・事業所別、顧客別、販売経路別といたセグメントに分解して行われることになります。セグメントの区分は、会社の状況により異なりますが、予算の精度はセグメントごとの積み上げによって確保されるものであることから、利益管理のためのセグメントをいかに区分するかは予算制度を構築する上で非常に重要です。
公開審査においても、この利益の管理区分が申請会社にとって適正であって、予算の積上げが妥当かどうかが確認されます。
2 予算間の整合性
予算体系は会社の業績より異なりますが、通常は売上高予算を出発点として、製造予算、販売費予算、一般管理費予算等の各種予算が作成され、最終的には総合予算として集計されて見積貸借対照表、見積損益計算書、見積キャッシュフロー計算書となります。
これらの予算は、相互に関連性を有するため、予算間の整合性がとられていなければなりません。公開審査においても、予算内容に合理性があるか否かは、予算間の整合性により確認されることになります。
3 予算管理単位の整合性 予算管理単位とは、予算の設定単位であり、かつ責任単位です。部門別損益計算が業績評価として役立つには、責任単位である予算管理単位と会計上の組織が整合しなければなりません。
予算管理単位が会計上の組織と整合しなければ、責任の所在があいまいとなってしまい、予算を管理することが困難になるからです。予算統制を有効に機能させるためには、会計上の組織を整備するとともに、予算管理単位を見直す必要があります。
予算単位は、会社の規模にもよりますが、通常は管理責任を持つ課長レベルを最小単位とすることが多く、組織上の課を単位として設定されます。少なくとも、部単位で予算を設定しておく必要があるでしょう。
公開審査においては、予算単位が妥当であるか、予算単位と会計組織単位が整合性を有しており管理統制が有効に働いているか否かといった点が確認されます。
4 予算編成手続の文書化
予算編成は経理など管理部門だけの努力で策定されるものではなく、全ての部署の協力が必要となります。よって、各予算の編成担当部署を明確にして、スケジュール管理を徹底するとともに、予算編成手続を文書化しておくことが必要となります。
・予算統制の整備
予算統制とは、経営活動の指針として編成された予算を基準にして、経営活動をコン
トロールし、その結果を経営者にフィールドバックする管理手法です。
その中心となるのが、月次決算です。会社は月次ごとに、予算の進捗状況を適時に把
握するとともに、予算達成に向けて継続的に業務を改善していきます。
月次決算の結果を予算統制に生かすためには、翌月の10日、遅くとも15日以内に
報告できるような迅速性を確保する必要がありますが、できない場合には会社の業務
処理手続きそのものの見直しを行い、場合によっては、根本的にその改善を行なわな
ければなりません。
例えば、以下のようにケースが挙げられます。
1 仕入・買掛金
請求書が到着しなければ、買掛金を確定することができないため月次決算が遅れてしまうケースがあります。このような場合は、とりあえず納品書により仕入計上を行い、翌月に請求明細との照合を実施し、仕入・買掛金のフォローをすることも考えられるでしょう。
2 月末処理の集中
給与や経費支払の締め日を月末日にしているため、月末に処理が集中するようなケース、あるいは請求書の到着が月末後数日経過してからとなるため、月次決算が遅れるようなケースがあります。
このような場合においては、締め日を月末から月中の一定の日に変更することによって、業務処理の分散を図り、月次決算を早めることが可能になります。
予算統制を整備するためには、以下の点に留意する必要があります。
1 会計管理制度の整備
予算統制が有効に行われるようにするには、予算と比較する実績をできるだけ年度の業績予測に役立つようにし、月次決算を積み上げたものができるだけ年度決算に近いものになるよう月次決算の正確性を整備しておかなければなりません。
また、業績評価に資するよう部門別に予算と月次決算を比較する必要があります。
しかしながら、報告の迅速性や事務作業の実務的な制約から年度決算と全く同じ方法を採ることは困難です。どの程度の精度をもって月次決算を行うかは、各社の事務管理レベルを考慮した上で決定すればよく、最初から高い精度のものは必ずしも必要というわけではありません。
以下のような事項に考慮しながら、なるべく年度決算と同様の手続きを反映させるようにして下さい。
A 原価計算の実施
製造業の場合、原価計算が制度として導入され、毎月製造原価が計算されることが大前提です。なぜなら原価計算によって製品や仕掛品の残高を月次で把握し、それを月次決算に反映させなければ、正確な売上原価が把握できないからです。
原価計算制度を導入するにあたっては、次の点に注意する必要があります。
a 財務会計との関連
原価計算データは、財務会計と有機的に結びついて、月次決算、年度決算に正しく反映されなければなりません。よって、原価計算システムの導入にあたっては、勘定科目体系はもとより、財務会計との関連に十分注意しなければなりません。
b 原価計算方法
原価計算とは、費目別計算・部門別計算・製品別計算の3段階の計算を通して原価を製品単位に集計する過程をいいます。製品計算は、費目別・部門別に集計した原価を製品単位に集計する過程の計算です。これには、会社の生産形態により各種の方法があります。
生産形態に対応した原価計算の方法は(製品別計算)は、以下の通りです。
| 個別原価計算 |
| 個別原価計算は種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態(多品種少量生産)にてきした方法です。 |
| 総合原価計算 |
| 単純総合原価計算 |
単純総合原価計算は、同種製品を反復連続的に生産する生産形態(単一製品大量生産)適した方法です。 |
| 等級別総合原価計算 |
等級別総合原価計算は、同一工程において、同種製品を連続生産するが、その製品を計上、大きさ、品位等によって等級別に区別する生産形態(単一製品大量生産でしかも当該製品の形状、大きさ等が異なる場合)に適した方法です。 |
| 組別総合原価計算 |
組別総合原価計算は、異種製品を組別に連続生産する生産形態(複数製品大量生産)に適した方歩です。 |
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B 棚卸資産の受払い記録
商品、製品、原材料などの棚卸資産について、不定期に棚卸を実施して、その時だけ月次決算に反映しているケースがよく見られますが、これも月次決算の正確性を損なう原因となります。棚卸資産については、その受払いと残高を帳簿による継続記録で管理し、月次決算に反映する必要があります。
棚卸資産は、会社の営業目的のために所有し、加工または売却を予定する重要な資産です。受払記録は、このような棚卸資産の購入(生産)量・消費量・残高を数量及び金額ベースで把握するもので、棚卸資産の管理・保全のために重要な情報を提供します。
受払記録の対象とすべき棚卸資産は、その重要性のほか、会社の属する業種の特性等によっても決まってきます。尚、受払記録の有無によって、棚卸資産の評価方法は異なることになります。
受払記録あり→個別法・総平均法・移動平均法・先入先出法・後入先出法
受払記録なし→売価還元法・最終仕入原価法
○製造業のケース
製造業では、原価計算制度の整備・運用状況が重要な審査項目です。原価計算制度の整備にあたって、次のように棚卸資産項目ごとに受払記録の整備をする必要があります。
a 原材料については、受払記録の整備により消費量を把握し、消費価格を計算しま す。ただし、包装材料のように単価が低く、また消費量の把握が困難なものは、必 ずしも受払記録を必要としません。
b 仕掛品については、原則として工程間の受払記録が必要となります。ただし、生 産工程の状況、原価発生の状況及び月次実施棚卸によるフォロー等によって、受 払記録を実施しないケースもあります。
c 製品については、原価計算期間における製品の生産(入庫)量・出庫量及び残高 を把握するために受払記録が必要となります。
○小売業のケース
スーパーマーケット、量販店のように様々な種類の商品を大量に販売する小売業では、受払記録にもとづく商品管理は事務作業の手間を考慮すると必ずしも合理的とは言えません。そのため、一般的には、商品をその種類、値入率、回転率など類似するものをグルーピングして、売価ベースによる理論値により受払計算を行っています。
また、原価ベースの理論在庫(=売価ベースの理論在庫×原価率)により月次決算を行うケースでは、その前提として売価ベースの理論在庫の信頼性確保が必要となるため定期的に実施棚卸を行わなければなりません。
また、POSシステムを導入し在庫管理を行うケースが増加していますが、通常は数量ベースの受払記録がメインであり、財務会計に必要な価格計算に結びついた記録ではないことから、ここでいっている棚卸資産の受払記録には該当しませんので、注意してください。
C 減価償却費 年間で見込まれる減価償却費を保有月数で按分した金額を毎月の減価償却費として計上します。個別に計算できない場合には、機種に保有している資産の年間償却費を算定し、当該金額の12分の1を月次計上する方法をとります。この場合、期中で大きな異動があった時には、異動月後、その分の補正を行わなければなりません。
D 賞与引当金
年間の賞与支給額を見積もり、その見積り額を各月に配分し、賞与支給月において、見積り計上額と引当金繰入額との差額を調整します。
E 退職給付引当金
年間の納入額を見積り、その12分の1を各月に配分します。
F 貸倒引当金
月次で発生した貸倒は、暫定的に貸倒損失で処理しておき、年度決算の時に貸倒引当金を取り崩してこれに充当します。
G 固定資産税、労働保険料等の諸経費 毎年定期的に発生する固定資産税、労働保険料のように、本来各月において負担すべき費用なのに、会計事実や支払事実が期の特定時点に発生する費用があります。このような費用については、年間の負担額を見積もり、期間等を基準にして各月に振り分けます。製造原価を構成する重要な原価要素となっているような費用であれば、特に必要な処理となります。
H 売上取引・仕入取引 年度決算と同じ売上・仕入基準を採用します。ただし、建設業のように1件の売上高が非常に多額であり、毎月経常的に引渡しが行われない業種の場合は、引渡基準ではなくて、工事進行基準を会計方針として採用して売上高・売上原価を工事進捗率に合わせて計上する方法もあります。このような場合においては、別途、個別の管理資料のよって業務の進捗状況と発生状況について管理を行わなければなりません。
I 支払利息・受取利息
期中は、実際の利息受取額や支払額で処理しておき、中間決算・期末決算で発生ベースにするため、未収収益や未払利息を計上します。
・予算と実績の比較および差異分析
予算統制を実施するには、予算と実績を比較し、重要な差異に関しては内容を分析する必要があります。この分析結果に基づいて、年度の業績見込みが達成可能であるか否か、または必要な施策、見直すべき経営戦略について検討されることになります。
・予算の見直しと修正
予算と実績の差異を分析した結果、期首に設定した予算について見直しする必要が生じる場合があります。度々予算を変更することは問題がありますが、達成が不可能な予算のままでいくよりは、半期が過ぎた段階において見直しして、目標と実勢の乖離を是正したほうが、予算の有効性は高まることになります。
また、月次の段階において実施される予算統制は、予算と実績の比較がそれぞれの予算設定単位で行われることになります。これらを手作業で行うには莫大な工数と時間がかかることになるので、迅速性が求められる月次決算に対応することは困難です。よって、情報システムを整備し迅速かつ正確な分析を実施できる体制を構築することが望ましいといえます。
予算制度の導入時期
これまで予算制度のなかった公開準備会社が、初めて予算制度を導入する場合、様々な
問題が生じることになります。また、予算制度を導入する場合には、単に予算の問題だけではなく、その前提となる経営管理制度全般の改善が必要となります。
公開審査場は、予算制度の存在だけでなく、その運用状況も検討され、その精度や実効
性が評価されることになりますから、最低1年以上の運用実績が要求されます。
予算編成及び予算統制の実務経験のない会社が、短期間で適正に運用できるものではないので、可能な限り早い時期に予算制度の導入を行うべきでしょう。そして、実際の運用状況から問題となる点を把握し、継続的な改善を図ることが必要です。
また、予算制度導入のためには、内部管理体制が整備されていなければなりません。特に予算編成の基礎となる予算単位については、組織体制をもとに設定されるので、組織が流動的な場合には予算統制は困難になり、大幅な予算修正をすることになりかねません。予算執行部門の責任者の業務分掌や職務権限が明確になっていなければ、予算統制
は有効に機能しません。
このような内部管理体制は、公開準備作業の過程で順次改善がなされることになります。
当然、これらの改善が予算制度にも影響を及ぼし、その都度、細部にわたって見直すこ
とになります。これを繰り返すことにより予算の精度が高まり、実効性のあるものとな
っていくのです。
よって、予算制度の導入時期については、準備期間、試行期間を考慮してできるだけ早い時期とし、全般的な管理体制の整備の進捗とともに、制度として確立していくことが
望まれます。
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