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 公認会計士・税理士
  野海 英
(ノウミ スグル)

○私の使命は独立・開業を失敗させず、会社を上場させることです。
○貴方の起業及び創業を全力でサポートします。

島根県江津市生まれ。
高校卒業まで島根、卒業後は東京で過ごす。
一般企業、監査法人及び税理士事務所に勤務し幅広い実務経験を積む。
2006年会計事務所を立ち上げる。
お問い合わせ先

ベンチャーコンサルティング
会計事務所
〒169-0075
東京都新宿区高田馬場1-5-21
グランメール高田馬場704
東京税理士会新宿支部所属
TEL :03-6327-4643
FAX:03-6327-4643
MAIL:info@venture-kaikei.com
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クリニック(診療所)の経営・会計・税務の知識と実務

V.税務に関する基本知識


質問1

税務上は、医療法人や個人診療所はどのように位置づけられるのか?また、どのような
 税目があるのか?



回答1

税法では、医療法人は普通の会社と同じ法人として取り扱われます。また、個人診療所は通常の事業を行う個人ということになります。よって、法人税、所得税、その他の国税と地方税は、普通法人または個人事業者と同じように課されることになります。

普通法人や通常の事務所はいわゆる「会社法」を基礎としているのに対し、診療所は「医療法」を基礎としているため、会計処理や剰余金で医業独自の取扱いはありますが、それに対して適用される税法は医業であるからといって特に変わりはありません。

診療所における税目は、まず個人か法人かで、その所得に対して所得税が課されるのか、法人税がかされるのかという、大きな違いがあります。その他の税目については、個人と法人についてほぼ共通しており、特に大きな違いはありません。

所得税と法人税は、基本的に利益を課税する税目であり、そこで計上される収益や費用の計算についても、全体としてはそんなに大きな違いはありません。






質問2

医療法人や個人診療所は、他の普通法人と比較してどのような課税方法の違いが
 あるのか?



回答2

普通法人と比較して、基本的な課税の方法は変わりません。ただし、診療所や病院については、医療行為を取扱うという公益性を重視して、独自の負担軽減の措置や計算方法が設けられています。


1.法人税、所得税
(1)概算経費の特例

これは「社会保険診療報酬に係る所得計算の特例」であり、一般的には「概算経費の特例」と言われ、通常の費用等の合計と、この特例により計算した費用等の額のいずれか税負担が軽くなる方を選択適用することが可能です。

ただし、この適用を受けるためには社会保険診療報酬が1年で5,000万円以下であることが必要な条件となります。

具体的な概算経費金額の算出は、社会保険診療報酬の額に以下の金額に応じてそれぞれの率を乗じて、算出します。


概算経費の特例


(2)医療用建物の割増償却、医療用機器の特別償却、税額控除

割増償却と特別償却は、一定の医療用建物、機器を購入した場合には、減価償却費を割り増すことができるという制度で、課税される所得を軽減させる効果があります。
税額控除は、税額そのものを減額できる制度です。

(3)法人税の留保金課税の不適用

同族会社が利益を内部留保している分については、一定の課税が行われることになりますが、医療法人はかいしゃではなく、また利益の配当そのものを医療法で禁じていることにより、この規定の適用はうけません。

2.消費税

消費税では、健康保険法が適用される医療サービス、医師、助産師等が行う助産や一定の居宅サービスに係る資産の譲渡等について、これを非課税とする政策的な規定があります。非課税というと、一見診療所の負担が軽減されるように思えますが、これは診療所ではなく、そこで受診をする消費者(患者)の税負担を軽減するための規定です。診療所にとっては、売上規模等に比べて消費税の納税は少なくなりますが、税を預かっていないのに納めなければならない、いわゆる「損税」の発生があります。

これは、診療所に過大な税負担を強いることになることから、現在も議論になっているところです。

3.相続税

相続税については、社団である医療法人の場合には、その法人に出資している者の出資持分の相続に対する課税があります。個人経営の場合には、当然にその個人財産全体に対して相続税が課税されることになります。出資持分の相続についての課税は、所有株式等に対する課税と仕組みは変わりません。

4.地方税

地方税では、住民税と事業税については医療法人に適用される軽減税率があります。特に、事業税については医療法人に対する税額軽減の仕組みが設けられていますが、その計算方法は自治体により異なっているため、その事情を把握して行う必要があります。基本的に地方税については都道府県、市町村などの行政単位によって取扱いが異なり、申告書のフォームや詳細項目に多少の違いがあるので、税理士などの専門家に助言を受けて申告するのがよいでしょう。






質問3

国税である所得税と法人税の違いはどこか?また、診療所の経営は、個人で行う場合と
 法人で行う場合とではどちらがよいのか?



回答3

税率、給与に対する課税方法、損失の繰越期間そして所得税に独自の損益通算の仕組みが、異なります。個人による場合と法人経営ではそれぞれ長所と短所がありますし、また、所得金額によってどちらが有利化も異なってきます。

しかし、個人経営は一般的に家事経費と事業経費が混同されがちなので、取扱いに曖昧さが残る項目も多いことから、近年では医療法人の方が経営上の合理性が高いといわれています。

所得税と法人税の違うところは、主として以下の点です。

1.税率

所得税では、超過累進税率といって、所得が増加するほど税率が逓増する仕組みを採用しています。そして、その税率も所得金額によって、5%〜40%までさまざまとなっています。一方、法人税の税率は、課税所得が800万円以下だと22%、それを超過すると30%と決まっています。

2.課税方法

所得税では、診療所の経営者の収入は、給料ではなく「収入から経費を差し引いた残り」 となります。そのため、一見すると個人で所得税のみが課される方が有利に思えます。

しかし、法人が経営者に給料(役員報酬という)を支払うと、これは費用とされ、課税対象となる所得は減少します。そして、その支給

された給料から所得税法に規定する一定の「給与所得控除額」が減額することになるため、こちらも課税所得は少なくなります。

よって、ここからも「どちらのほうが税金がかかる」とは判断できません。

3.損益通算

所得税では、医業をつうじて算出した所得(事業所得という)と、他の所得(例えば不動産を貸して得た所得、給与として得た所得など)を、合算して計算する「損益通算」という仕組みがあります。損益通算をすると、例えば医業による事業所得が100万円の黒字で課税所得が発生している場合に、他に不動産賃貸に係る所得が50万円の赤字である場合には、100万円−50万円=50万円として、損益通算する仕組みです。これを行うことにより、事業者によっては税の負担が軽減されます。

恒常的に本業以外では損失が生じているような個人診療所は、このような損益通算の仕組みを利用することにより、法人ではなく個人診療所のままでいるメリットがあります。

4.損失の繰越期間

法人税法では、当期に生じた損失を翌期後7年間繰越して利益と相殺することができますが、所得税法ではこれを3年間に限定しています。この点においては、法人の取扱いは非常に有利といえるでしょう。






質問4

診療所は消費税をあまり納めないのか?



回答4

一般的に医療機関は納付する消費税が少なくなる仕組みになっています。それは、医療行為において「非課税」とされる項目が多いからです。

まず、消費税の仕組みをみてみます。
 会社や診療所からみると、顧客・患者から預かった消費税を代わりに国に納付することになります。ただし、その納付金額は、仕入先などに会社や診療所が支払った(預けた)消費税を差し引いた、差額の金額となるのです。

診療所においては、消費税は「非課税」とされている項目が多い為、一般の会社などに比べると納付する税金が少なくなる、といえます。消費税は、基本的にはほとんどの資産の譲渡、貸付け、サービスについて課されるものとされていますが、消費税法では、国民健康保険や社会保険の対象となる医療や一定の居宅サービスなどを政策的に非課税項目としています。

例えば、ある人が1回10,000円のエステサービスを受けた場合には、5%である消費税500円を合わせて10,500円を支払わなければなりません。

しかし、患者が診療所で社会保険適用の治療を受けて10,000円支払った場合には、これについては5%の消費税は課税されないのです。ただし、保険が適用されないいわゆる「自由診療」については非課税の対象となっていないので、自由診療による収入については消費税を預けることになります。

 よって、消費税を全く支払わないことではありませんが、非課税とされる項目が多い為に、その収入の大きさに対して納める消費税が少ないのです。






質問5

事業を行っていると、国だけではなく県や市に対して支払う税金もあると聞くが、
 どのようになっているのか?



回答5

診療所を経営することにより、個人であっても法人であっても、住民税と事業税を納付することになります。

個人であっても法人であっても、診療所を経営していると、いわゆる住民税と事業税を支払うことになります。住民税は個人住民税と法人住民税とがあり、それぞれ道府県民税と市町村民税に分かれていて、その中でまた所得の有無に関係なく支払う「均等割額」と所得税の額または法人税の額に応じて支払う「所得割額」または「法人税割額」とがあります。

また、事業税ですが個人事業税と法人事業税とがあり、これは都道府県で課税されます。なお、東京都の特別区については、地方税は都で徴収されることになっていて、特別区民税の徴収も都で行われます。その他に、固定資産税、不動産取得税、酒税、揮発油税、たばこ税など、地方税は様々あります。






質問6

住民税の仕組みは?



回答6

住民税は、所得割または法人割と均等割の2通りがあり、それぞれ個人と法人とで計算方法が異なっています。以下で説明します。

1.個人診療所の住民税
 (1)所得割  標準税率


所得割 標準税率


 (2)均等割  標準税額


均等割 標準税率


2.法人診療所の住民税
 (1)法人税割


法人税割


 (2)均等割
   都道府県民税


均等割 都道府県民税


   市町村民税


均等割 市長村民税






質問7

事業税の仕組みは?



回答7

事業税の課税は、個人診療所と医療法人で課税体系が異なります。

1.個人診療所の事業税

個人診療所では、事業税は医業所得のうち社会保険診療に係る所得は課税されずに、それ以外の所得に対しては第3種事業として5%の税率で課税されます。算式で表せば、

   事業税=(事業所得−社会保険診療報酬に係る所得−事業主控除)×5%

ただし、あん摩、マッサージまたは指圧、はり、きゅう、柔道整体その他の医業に類する事業は上記税率が5%から3%になります。

2.医療法人の事業税

医療法人経営診療所の場合は、事業税の課税上特別法人とされていることから、税率設定も他の法人より低く、特別扱いとされています。

医療法人の事業税の税率表

医療法人の事業税の税率表


3.課税標準の計算

医療法人経営診療所の場合にも、個人診療所と同様に事業税の課税標準の計算上、社会保険診療報酬にかかわる所得は、課税対象から除かれます。

そこで、事業税の計算を行う場合、諸皆保険診療報酬は容易に把握することができますが、諸皆保険診療報酬に対する経費の把握については、事業年度を通じて区別して経理処理されている場合を除き、多くの場合、社会保険診療報酬に対する経費を按分計算によって算出することになります。

そして、その計算方法は、それぞれの県によって異なりますが、大別すると以下の2つの方法に分類されます。

第1番目の方法は、医療所得全体を社会保険診療報酬とその他の収入の比率で按分し、その他の収入に対する所得を課税標準とする方法です。この方法によると、経費の案分は行われないことになります。

次に、第2番目の方法ですが、費用総額を社会保険診療報酬分とその他の収入分に配分し、それぞれの収入に対応する所得を計算したうえでその他の収入に対応する所得を課税所得とする方法です。





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