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 公認会計士・税理士
  野海 英
(ノウミ スグル)

○私の使命は独立・開業を失敗させず、会社を上場させることです。
○貴方の起業及び創業を全力でサポートします。

島根県江津市生まれ。
高校卒業まで島根、卒業後は東京で過ごす。
一般企業、監査法人及び税理士事務所に勤務し幅広い実務経験を積む。
2006年会計事務所を立ち上げる。
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ベンチャーコンサルティング
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〒169-0075
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グランメール高田馬場704
東京税理士会新宿支部所属
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教えて!株式上場

株式上場について、まとめました。下記の目次をクリックしてください。(各ページは、目次の下にあります)

1.そもそも株式上場とは

株式の上場とは、自社の株式を証券市場の取扱銘柄とし、証券市場を通じて投資家が自 由に売買できるようにすることをいう。

このように広く一般投資家が株主になることは、会社が個人企業から社会的な存在に生 まれ変わることを意味するものといえる。

昨今の新興市場の創設や上場基準の緩和による株式上場の多様化は、中堅・ベンチャー 企業にとって上場企業への門戸が拡大し、一般投資家から資金を元にさらなる成長へ進む チャンスが拡大したといえる。

一方、ベンチャー企業のみならず、強固な事業基盤を有する企業にあっても、間接金融 に依存した財務体質から直接金融への方途を開くべく、潜在的に上場意欲が高い状況が続いている。

株式上場の対象となる証券市場には、東京証券取引所の1部、2部及び大阪等の取引所 市場、JASDAQ市場やマザーズ市場に代表される振興企業向けの市場がある。

従来の株式上場では、新興企業はJASDAQ市場へまず上場するのが通常であった。しかし、新興企業向け市場開設により、企業ニーズに合致した株式市場に上場することが可能となった。

これまでの株式上場は、一流企業への仲間入りとしての目指すべきゴールという傾向があったが、新興企業向け市場の開設後は自社のビジネスプランを実現させるためのスタート地点に立つという傾向が強まってきている。すなわち、株式上場することが自社の経営戦略に合致することを検討したうえで、どのようなタイミングで上場するか、どの市場に上場するかということが重要になっている。

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2.上場市場の種類と特徴は

従前の株式上場市場は、中堅新興企業はJASDAQ市場へ、規模の大きな企業は取引所市場へと棲み分けがされていた。しかし、マザーズ、ナスダック・ジャパン(現:ヘラクレス)の両市場が創設され、また、JASDAQ市場が取引所化され、日本における株式市場の階層化の崩壊と市場間競争の激化が大きく進展してきている。

各市場の特徴は以下の通りである。

@ マザーズ

マザーズは「成長性」、「流通性」、「迅速性」、「透明性」という特徴を有しており、成長過程にある新興企業に対して、従来と比べてより早い段階で証券市場からの資金調達の機会を提供することを目的として東京証券取引所が創設した。したがって、業種に関係なく、優れたノウハウを持ち、成長の可能性が認められるすべての企業はマザーズの対象会社となる。

また、マザーズは、証券市場からの資金調達を望むアーリーステージの新興企業と、ハイリスク・ハイリターンの投資ニーズを有する投資者の橋渡しをする市場であり、既存の東証1部、2部市場とはコンセプトを異にするものといえる。

マザーズ上場申請にあたっては、東京証券取引所の会員である主幹事証券会社が、申請会社が上場会社としての「高い成長可能性」の要件を満たす企業である旨及びその理由を記載した書面(意見書)を東京証券取引所に提出することにより、マザーズ銘柄としての適格性を確認することになっている。したがって、当該企業が「高い成長可能性」を有するか否かについては、第一義的には主幹事証券会社の判断に委ねられることになる。

A ヘラクレス

ヘラクレスも申請書類を削減して、スピーディーな株式上場を可能にすることと、流動性の高い株式市場を目指すといった点を特徴として有している。

マザーズと異なる特徴としては、以下のものがある。

第1に、事業の特性や成長段階に応じた多様な基準を設けている。その基準とは

1.スタンダード第1号

収益性、資産性があり、市場性の見込める企業を対象とする。

2.スタンダード第2号

資産性(資産実績)があり、市場性の見込める企業を対象とする。

3.スタンダード第3号

売上や資産などの気魚規模があり、市場性の見込める企業を対象とする。

4.グロース

潜在的な成長性があり、市場性の見込めるいわゆるベンチャー型企業を対象とする。

第2に、流動性の高い市場とするために、上場時に浮動株時価総額基準を取り入れ、上場基準と連動した上場廃止基準を設けている。

B JASDAQ市場

JASDAQ市場のコンセプトは以下の通りである。

1.ビジネスプランに特徴のある企業及びIT、ハイテク、バイオなどを含む、さまざまなステージにある成長・ベンチャー企業に資金調達の場を提供する市場としての地位を確立する。
2.JASDAQ市場特有の取引手法としてのマーケットメイク制度を通じて、高い流動性が  確保された市場を提供する。
3.証券取引所に備わる市場インフラに基づき、魅力ある商品・取引制度を提供する。

また、従前、JASDAQの上場審査は、実質的に主幹事証券会社によって行われる間接審 査になっていたが、取引所化された後は、潟Wャスダック証券取引所が直接審査を行っている。

C 証券取引所

証券取引所は、現在、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌の5証券取引所がある。

このうち、東京、大阪、名古屋の各取引所は証券会員制法人から株式会社に組織変更しており、市場の株式会社化は国際的な動向となっている。

なお、証券取引所がいわゆる「テリトリー制」(例えば東京証券取引所では東京周辺以外の企業の単独上場を規制)を廃止したことに伴い、取引所周辺以外の企業の取引所単独上場が可能となった。

また、現在では新規上場を目指す企業に対して相談窓口を開設し、規則や制度に関する相談・質問などを受け付けている。さらに上場希望企業へ個別訪問したり、各種セミナーや説明会の開催、各種講演会への講師の派遣、株式上場関連のメールサービスの運営を行うなど上場支援のサポート体制も行っている。

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3.株式上場のメリット・デメリットとは

株式上場のメリット・デメリットとしては、以下のものがある。

@ メリット

1.長期安定資金の調達と財務体質の強化

株式上場により低コストで多様な資金調達の途が開けるとともに、時価発行増資等によるプレミアムにより自己資本が充実し財務体質の強化が図られる。

2.会社の知名度の向上及び社会的信用の増大

株式上場後は、優良企業としてのイメージが高まり、取引先等からの信用がたかまる。

3.人材の確保とモラールの高揚 

株式上場による知名度・信用力の向上、自己資本充実による安定性の増大により、優秀な人材の採用が可能となる。また、株式上場会社の役員・従業員であるという自覚によるモラールの高まりが期待される。

4.経営管理能力の強化

株式上場の準備過程において、個人的色彩の強い経営から組織的な経営への転換がなされ、内部統制が十分機能した経営管理体制への充実が図られる。

5.従業員持株会制度の導入による福利厚生の充実

従業員持株会制度の導入により、従業員の財産形成に対する助成となる。

6.創業者利潤の実現

オーナーは、株式上場時の株式の売り出しによって、投下資本の一部を回収し、創業者利潤を実現することができる。

7.株式の公正な価格形成と財産価値の増大

株式が証券市場で流通し、公正な株価が形成されることによって、株式の換金性が増大し、株主の財産形成が図られる。

8.事業承継

株式上場は、自社株式に換金性と付与するという意味でそれ自体も事業承継対策として大きな意味をもつ。

A デメリット

1.M&Aや株式の投機的取引に対する危険性

証券市場で自由に株式が売買されることになるので、投機的取引の対象となった り、買占めにより経営権が侵害されるおそれがある。安定株主対策、日々の自社株 取引の管理等を慎重に行っていくとともに、株主総会の運営についてもある程度の 対策が必要になる。

2.株式事務の増大

上場により株式の流通性が高まり、株主の異動が頻繁になり株式事務の負担が増 える。

3.企業内容開示義務

株式を上場すると、決算発表や、有価証券報告書等の提出といった企業内容の開示が必要となり、事務負担が増大する。

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4.標準的な株式上場のスケジュールは

株式上場を目指す場合、形式基準をクリアすることはもとより、実質基準をクリアするため、社内管理体制等の整備に相当の準備期間を要する。

東京証券取引所・大阪証券取引所及びジャスダック証券取引所への上場準備のための標準的な内部管理体制の整備スケジュールは以下のようになる。

株式公開スケジュール

株式公開スケジュール

内部管理体制の整備

内部管理体制の整備

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5.株式上場に要する費用は

株式上場に要する費用には、@上場準備期間中に発生する費用、A上場申請に伴い発生する費用、B上場後に要する費用がある。

以下、順に説明する。

@ 上場準備期間中に発生する費用

主なものに、1.人材補強費用、2.コンピュータシステム整備費用、3.監査法人の監査費用、4.証券会社の引受指料がある。

1.人材補強費用

経営管理組織の見直し等により、株式上場に備えて人員補強が必要になることがある。場合によっては、外部より人材を採用することも必要になる。

このための人員は、会社の規模、業種及び上場準備作業の内容により異なるが、一般的には人材採用のアウトソーシングが必要となるので、その分コストがかかることになる。

2.コンピュータシステム整備費用

経営管理組織の整備にあたり、コンピュータシステムの導入、改善が必要になるケースがある。導入するシステムの規模・内容により費用は異なるが、これらの費用は会社の内部体制を強化するためのもので、上場のためだけの費用とは言い切れない面がある。

3.監査法人の監査費用

株式上場のためには、上場申請のための有価証券報告書に監査法人(または公認会計士)による監査報告書の添付を要する(原則として2年間分)。会社の規模等により必要な監査日数が異なるが、監査報酬は、例えば述べ日数90日の場合で、年間1,400万円程度となる。

4.証券会社の引受指導料

証券会社の引受部門は多くの株式上場の経験を有しており、これらのアドバイスは申請会社にとり貴重なものである。会社の規模やアドバイスの内容等により大きく異なるが、おおむね年間1,000万円程度となる。

A 上場申請に伴い発生する費用

上場申請により、直接的に発生する費用(税抜き)は以下の通りである。

1.証券取引所

(1)上場審査量 東京証券取引所200万円(予備審査料も同額)、その他100万円(予備審査料も同額)

(2)上場手数料

上場手数料

(3)JASDAQ上場

・新規上場料 600万円

・上場管理料
上場株式数により72万円〜132万円の6段階に分かれている。(計算期間は4月1日より翌年3月31日。新規上場の場合は当該登録日を含めた月数按分)

2.上場申請書類の作成費用

上場申請書類の作成コストとしては、おおむね以下のものが考えられる。

(1)上場申請書類(Tの部、Uの部)の印刷代:300万円〜400万円

(2)有価証券届出書・目論見書等:500万円程度

(3)会社説明書・社長説明用紙の印刷代:100万円程度

(4)株券印刷費:200万円~300万円

(5)新聞広告費用:100万円~500万円程度(公告スペースに応じる)

(6)その他(場合によっては、上場記念広告料、ビデオ制作代、記念品代等がかかる)

B 上場後に要する費用

上場後にかかる費用としては、監査費用のほか株式事務代行手数料500万円程度、その他  株主総会招集通知の印刷及び発送費用等ディスクロージャー関係の費用がかかる。

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6.上場時期の決定方法は

株式上場の審査で重要視されるのは、会社の収益力であり、将来にわたって安定的に利益を 確保することが絶対条件となる。上場時期を決定するにあたっては、中・長期利益計画を作成 し、将来にわたる会社の収益力を見定めることが必要となる。

また、上場時の会社資金調達やオーナーの売出しの規模は、上場時の発行株式総数と発行価 格により決まるが、それらの決定要因は、会社の収益力(利益計画)である。逆にいえば、会 社の資金需要やオーナーのキャピタルゲインの必要額から利益を想定し、それを達成する事業 年度を叙情の目標年度にするともいえる。

なお、上場準備作業には、資本政策の策定以外にも「関係会社の整理」、「特別利害関係者と 会社間取引の整理」及び「内部管理体制の整備」など作業に時間を要するものもあり、これら も上場の時期を左右する要因となる。

上場準備作業には、その作業内容によって、時間のかかることが予想されるものもあるが、 上場会社としての基礎的要件は収益力(利益計画)であり、これが上場の時期を決定する要因 となる。そのため、これに基づく資本政策が上場準備のスケジュールを大きく左右することに なる。内部管理体制等の整備は、決定された上場時期にあわせてスケジュール化されるのが一 般的である。

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7.社内管理体制の整備とは

@ 上場会社にふさわしい社内管理体制とは

上場審査では、申請会社が長期にわたって多数の一般投資者からの投資を最も効率的に事業 活動に生かし、利益を生み、株主に継続的に利益を還元するという責任をはたしうつような経 営基盤、収益構造を有していること、及びそれらを確保するための組織体制が会社に備わって いるかを審査することになる。すなわち、会社が永続企業として安定的に収益を上げていくた めには、個人企業に見られるような属人的な面に頼った経営から脱却し、組織的な経営がなさ れていることが必要になる。また、会社が一定規模以上になると、当然権限の委譲が行われる わけであるが、会社が全体として統一的に行動するためには、社内管理体制の整備が必要とな る。

社内管理体制の整備事項としては、次のようなものが挙げられる。

1.内部牽制組織と業務分掌の整備

2.職位・職務分掌の明確化

3.管理部門の人員の充実

4.社内諸規定の作成

5.利益計画の作成及び予算統制の実施

6.会計管理制度の整備

7.内部管理(販売管理、購買管理、資金管理、在庫管理、固定資産管理、生産管理等)の 整備

8.内部監査の実施

A 社内管理体制はどの程度まで整備する必要があるか

これらの社内管理制度の整備項目は、上場審査上、最低限充足すべき事項である。これらの事項については、原則として、上場申請直前年度までには当然整備完了し、上場申請直前年度の1年間は運用されていることが要求されているが、それぞれの項目の管理水準は会社の規模・業務内容等によってもちろん異なるものとなってくる。

未上場会社の場合、管理部門の人員を削減したスリムな経営体制をとっているケースが多く見受けられるが、上場会社としての社内管理体制を充足するためには人員の増加は避けられないものとなる。ただし、会社の規模・業態を無視した過度の管理体制は、経済的ではないばかりか、管理体制の持続性にも無理が出てくる。上場審査上要求される社内管理体制は、申請会社がその規模・業態等において当然充足しなければならない基本的管理水準である。

上場準備作業にあたっては、その点を十分認識し、会社の実体に即した社内管理体制をつくる必要があり、またそれが作業を効率的に進める重要な要素となる。やみ雲に理想論的な管理水準を追うのではなく、上場のタイミングを見据えて、その期限内に達成すべき基本的管理水準の整備を行うことが必要となる。

この基本的管理水準の指標となるものは明確ではなく、会社にとって判断しづらい分野となるので、上場準備作業に精通した監査法人(または公認会計士)等の外部機関のアドバイスが、作業の円滑化に有効となる。

なお、企業会計審議会から平成17年12月に証券取引法の改正も視野にいれた「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」が公表され、内部統制整備に関連し、特に、財務報告活動についての十分な内部統制を整備し、経営者自身による評価が求められている。

会計制度の整備

会計制度の整備

社内体制の整備

社内体制の整備

社内諸規程等

社内諸規程等

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8.管理部門の人材育成と導入とは

株式上場を目指す急成長企業には、管理部門の人材が極端に少なく、月次決算が大きく遅れ、 また年度決算も税理士任せ、という会社も珍しくない。しかし、そのままでは管理面・組織面 で限界に達し、いずれ業務上大きな支障をきたすことが考えられる。

株式上場の準備段階から上場までの期間中は、管理体制づくり等にかなりの労力を要するが、 会社の管理水準を高めて組織的経営を行うための脱皮期間とも考えることができる。

株式上場のための申請書類の作成には、かなりの事務量と専門的知識を要する。また、上場 企業にふさわしい組織と企業規模に応じた適切な人員を準備する必要がある。

したがって、管理部門の人材は、質・量とも十分なものであることが必要となり、特にリー ダー(部長・課長)の存在意義は大きく、その能力・人間性が部下の業務遂行にかなり影響を 与えることから、リーダーにふさわしい人材の確保が重要である。

@ 人材の育成

業務の課題・改善方法については、監査法人からのアドバイスを受けることができる。準備 期間中は、短期間でいろいろな実務経験を積むことができ、個人の能力アップにつながること から、有能な人材育成のための絶好の機会といえる。したがって、社内より適切な人材を選出 し、樹上準備作業の主要メンバーに充てることは、人材育成に大きな効果が得られるものとな る。

A 外部からの人材の導入

(1)中途採用のケース

管理部門の人材が少なく、適当な人材を欠くケースでは、即戦力の人材を外部に求め ることも有効な方法といえる。

その場合の留意点は以下の通りである。

1.上場実務経験の有無は問わない。

2.可能であれば上場企業・同業他社出身者が望ましい。

3.実務経験豊富な人材、特に経理部門の場合、決算業務の経験者が望ましい。

4.会社には独自の文化があるので、そこに溶け込める協調的な人材を採用する。

(2)一時的採用のケース

上場準備期間中、一時的に上場実務経験者を採用して作業を進めるのも1つの方法である。しかし、この場合でも、有能な若手の人材育成を怠っては、せっかくの機会を逸することになるので、長期的視点からの考慮が必要となる。

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9.株式上場準備作業における経理部門の役割は

株式上場準備作業における経理部門の作業の比重は高いものといえる。社内管理体制の整備及び上場申請書類の作成等の上場準備作業において、いずれも経理部門が鍵となる。

上場準備作業における経理部門の主な作業としては、次のものが挙げられる。

@ 利益計画・予算統制の整備

利益計画の作成及び予算統制については、経営企画室等の予算部門が実施することになるが、利益計画作成のための基礎データ及び統制のための実績データは、経理部門で作成することになる。また、予算制度を初めて導入する場合、予算の積み上げに必要な過年度データが不足しているケースもあり、過去にさかのぼってデータを収集することなどが、経理部門の作業として付加される場合もある。

A 月次決算の導入

予算制度の導入にあたっては、その統制のために月次決算の導入が不可欠なものとなる。

月次決算は、年度決算と同様な処理により精度の高いものであることが要求されると共に、予算統制のためにはタイミングよく報告されなければならないとう迅速性も要求されるものである。

B 原価計算制度の導入

原価計算制度の導入は、製造業にとっての利益計画の策定、予算制度の確立、月次決算制度の整備及び原価管理の大前提になるものである。また、その整備にあたっては、コンピューター化との関連を含めて相当の時間を必要とする。

C 連結決算の導入

連結決算の導入は、申請会社のみならず企業グループ各社の会計制度が整備されなければならず、申請会社の経理部門がリーダーとなって会計処理の統一及び決算作業の迅速化に向けて相当な時間を必要とする。

D 会計組織の整備

会社の規模にあった会計単位の設定(本支店会計の導入)及び予算統制のための部門損益の把握などを整備する必要がある。

E 申請書類の作成

上場申請書類の主なものには「Tの部」、「Uの部」があり、これらには経理部門が中心となって作成すべき個所が多数含まれている。

「Tの部」は、監査対象期間である上場申請直近2期間の連結財務諸表及び個別財務諸表に加えて、監査対象期間前3年間の個別財務諸表が必要となる。

「Uの部」は、「Tの部」を補足する情報がまとめられたものであり、連結財務諸表、個別財務諸表等に関する詳細な明細を記載するものである。

また、経理部門は会社のすべての取引のデータの集積場所となることから、その取引データの信憑性を確保するため、内部管理体制の整備に関与するなど、上記@~E以外にあっても上場準備作業における経理部門の作業の比重は高いものといえる。

これらの業務が日常業務に付加されてくるため、現状の経理部門ではまかないきれなくなるケースがよく発生している。上場準備作業として行わなければならない内容を早期に把握し、現状の人員で十分なのか、人員の補充が必要なのか検討しておく必要がある。特に経理部門の人員は、専門分野としての知識の要請が必要であることから、簡単に補充がきくものではないことを念頭におく必要がある。

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10.主幹事証券会社の決定時期とその役割は

@ 主幹事証券会社とは

株式の上場は、申請会社と証券会社と監査法人(または公認会計士)の三者の共同作業により初めてなしうるものである。

証券会社が上場に関して行う業務は、上場準備指導、上場審査、株式の引受の3つである。

また、幹事証券会社には、いわゆる主幹事と呼ばれる主幹事証券会社と平幹と呼ばれる幹事証券会社があり、上場準備にかかわる上場準備指導、上場審査を行うのは、主幹事証券会社である。

 A 主幹事証券会社の役割

主幹事証券会社の役割を挙げると以下の通りである。

(1)上場前

1.資本政策の作成・・・

中・長期経営計画等をもとに、上場時期を想定し、上場後の適正な株主構成を実現するために、第三者割当増資、株式分割、併合、新株予約権の発行等を行う計画を作成する。

2.内部管理体制の整備の助言及び協力・・・

予算制度の構築、内部監査制度の構築、規定類の作成、関係会社整理等の指導を行う。

3.申請書類作成に対する指導・・・

「Tの部」、「Uの部」等の申請書類の作成を指導する。

4.事業承継に関する相談・・・

親族間の株式移動や資産保全会社(持株会社)の設立指導を行う。

5.従業員持株制度導入に関する指導・・・

従業員持株会の運営、管理等に関する指導を行う。

(2)上場時

1.企業内容の審査、事前チェック、問題点の指摘・改善指導・・・

主幹事証券会社としての引受審査、事前チェック、問題点の指摘・改善指導に加えて、証券取引所からの質問に対する回答の指導を行う。

2.上場手続・・・

証券取引所、財務局への折衝にあたる。

3.公募・売出しによる株式の引受け・・・

株式を引受け、これを一般投資家に勧誘する。

4.公開価格の決定・・・

ブックビルディング方式により公開価格を申請会社との協議のうえ決定する。

なお、公開価格の決定方法である競争入札方式(選択性)は、ブックビルディング方式導入(平成9年9月)以降、現在では使われていない。

5.上場記者会見の設定・・・

上場当日に行われる記者会見を設定する。

(3)上場後

1.株価の安定化に関する助言・・・

適正な株価が形成されるよう安定株主対策の助言を行う。

2.資金調達に関する助言・・・

上場後の株式発行や、社債等の発行を提言する。

3.国内外の経済情報の提供・・・

証券会社の持つ情報ネットワークによってさまざまな情報を提供する。

4.株式事務に関する助言・・・

上場株式特有の事務管理等についてサービスを提供する。

このように、幹事所証券会社のうち主幹事証券会社は、内部管理体制の整備や資本政策案の作成等、株式上場準備作業の全般にわたり指導・助言を行う。ゆとりある準備作業を行うためには、主幹事証券会社は早めに決定することが望まれる。

主幹事証券会社の決定は、望ましくは上場申請期の期首以前2年前までに、遅くとも直前期の期首までになされるのが通常である。

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11.資本政策の作り方は

株式上場にあたっての資本政策は、上場審査の一定の基準(形式基準)をクリアすることが前提になるが、それに加え資本政策が達成すべき目標により、そのファイナンスの方法等が選択・適用されることにある。また、資本政策の策定にあたっては、上場審査の基準や株式移動に伴う課税関係などの制約を受けることとなる。

資本政策は、これら資本政策の目標及び制約を総合的に勘案して作成することとなる。

@ 資本政策のつくり方

資本政策は、上場する市場、上場の時期及び資本政策が目標とするもの等の基本方針を決定することから始まる。この基本方針を達成するための対策が、ファイナンス等のスケジュールであり、資本政策の立案とは、基本方針の決定と基本方針に基づく対策(ファイナンス等)とその効果の検討を行うことにある。

A 基本方針の決定

資本政策を作成するにあたって、決定すべき基本要素には、次のものがある。

(1)上場する市場

会社が株式を上場する市場を決める場合、それぞれの市場の上場審査の基準(いわゆる形式基準や実質基準)により、決定されることになるが、主に要求される利益水準や社内管理体制等の整備状況を、自社の状況と比較しながら決定することとなる。

(2)上場時期の決定

上場時期の決定には、中長期の利益計画を作成し、上場時の利益水準を見極める必要がある。

(3)上場時の発行済株式総数

上場時の1株当たり利益の目標を決め、次に中長期利益計画による上場時の利益水準から目標とすべき発行済株式総数を逆算して求めることとなる。

(4)安定株主対策等株主構成の検討

現在の株主構成を検討し、株主構成の是正の必要性や上場時の安定株主比率の検討を行う。安定株主対策として、オーナーの持株比率の目標や金融機関等への割当と、その結果としての安定株主の持株比率の合計を目標に定める。

(5)インセンティブ・プランの設計と従業員持株会の設立

経営幹部や社員に対する「経営の中枢幹部の個人出資」、「部課長へのストック・オプション(新株予約権)」及び「従業員持株会制度」といったインセンティブ・プランの設計を行い、割当時期や割当株数等の目標を定める。

(6)会社資金調達の目標

上場前であっても、事業拡大に伴う設備計画などにより増資の必要な場合がある。     設備計画・資金計画等を作成し、会社資金調達の必要額の目標を定める。この資金調達の目標額により、上場前の第三者割当増資の規模や上場後の公募増資の規模の目標を設定する。

(7)事業承継対策の検討

資産保全会社(持株会社)の設立や新株予約権の後継者への割当など、事業承継対策を資本政策に組み込む。

(8)創業者利潤の目標

上場時の売出しによるオーナーの放出株式数の目標(キャピタルゲインの目標)を決定する。

 B 基本方針に基づく対策とその効果の検討

基本方針に基づくファイナンス等のスケジュールやそれによる効果を検討する。

(1)ファイナンス等のスケジュール作成

基本方針に定める資本政策の目的により選択するファイナンス等を決定し、そのスケジュールを作成する。

(2)株主構成の推移

ファイナンス等のスケジュールから、株主構成の変化の推移を作成し、上場後の安定株主対策(安定株主比率の目標)を検討する。

(3)オーナーの資金負担及び回収の検討

上場前のファイナンス等により負担すべき資金と、上場時の売出し(キャピタルゲイン)により回収すべき金額の予想額を算定する。

(4)会社資金調達

上場前のファイナンスによる資金調達額及び上場時の公募増資による資金調達の予想を作成する。

C 資本政策にあたっての制約

資本政策にあたっては、上場審査の基準や株式移動に伴う課税関係などの制約を受ける ことになる。留意すべき事項には、以下のものが考えられる。

(1)上場前の増資と株式移動等の規制

(2)上場時の売出し、公募

(3)上場会社の株式評価と税務

(4)株式上場とキャピタルゲイン課税

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